超硬度テクノロジー ファインセラミックスバルブは次々と数多くの賞を受賞しました。

1960年代後半、日本では公害問題が大きくクローズアップされていました。1967年に「公害対策基本法」が、翌68年には「大気汚染防止法」が施行され、官民を挙げてさまざまな取り組みが展開されます。

こうしたなか、フジキンが開発に取り組んだのは火力発電所の排煙脱硫装置に用いられるバルブでした。この装置は、発電所で化石燃料を燃やした際に発生する硫黄酸化物(SOX)を取り除くもので、排ガスに石灰水を噴霧し、化学反応によってSOXを吸収・除去する仕組みです。吸収したSOXは石膏として回収し、二次利用されます。

排煙脱硫装置

排煙脱硫装置用のバルブは、排ガスの量に応じて石灰水を送り込むラインや回収された石膏を流すラインに配置され、それぞれのオン/オフや流量を制御します。

しかし、そこには解決しなければならない課題がありました。石灰水も石膏も水に固形物が混ざったスラリーと呼ばれる流体で、金属製のバルブではすぐに摩耗・腐食してしまうのです。金属に代わる新素材、金属以上の耐摩耗性や耐腐食性を備えた素材を見つける必要が生じました。そのとき出合ったのが、京都セラミック株式会社(現・京セラ株式会社)様が製造するファインセラミックスです。

スラリー(固体粒子が混ざっている液体)に対しては金属製のバルブは弱い。 スラリー(固体粒子が混ざっている液体)に対しては金属製のバルブは弱い。

セラミックスは粘土を焼き固めたもので、ふだん私たちが使っている陶磁器のお茶碗やお皿もセラミックスです(ファインセラミックスに対してオールドセラミックスと呼ばれています)。一方、ファインセラミックスというのは、精製された原料粉末を用いて必要な機能に合わせて化学組成を調整し、管理された工程で成形して高温で焼成された、高精度かつ高機能なセラミックスのことをいいます。

その最大の特徴は硬いこと。代表的な材料であるアルミナ(Al2O3)の場合はステンレス鋼の約7.5倍、炭化ケイ素(SiC)は約11.5倍でダイヤモンドなどに次ぐ地球上で3番目の硬さを誇り、耐摩耗性のほか耐腐食性や耐熱性にも優れています。まさに、排煙脱硫装置用バルブに最適な特性を備えていたのです。

硬度No.1:ダイヤモンド 硬度No.3:ファインセラミックス炭化ケイ素(SiC)

当時、ファインセラミックスという言葉は、集積回路のパッケージ素材としてようやく一般に知られるようになったところで、バルブに使用するような大きなサイズのものは、まだ世の中にありませんでした。

このため、京セラ様との開発初期には焼成段階での割れなどが発生し、また流体の漏れを止めるシール性能についても、なかなか要求性能を満たすことができませんでした。

私たちはこうした課題を一つひとつクリアし、まずは開発品レベルでしたが、社会的ニーズに応える排煙脱硫装置向けバルブの納入を実現。さらに量産体制に向けた取り組みを進め、1981年9月に世界初のファインセラミックスバルブ「フェニックスTM」の実用化を発表します。この報道は産業界に一大センセーションを巻き起こし、ファインセラミックスバルブは画期的な新製品として日米で次々と数多くの賞を受賞しました。

ファインセラミックスバルブ コズミックス 「フェニックスTM」の進化型「コズミックスTM

その後、フジキンでは「フェニックスTM」のコンパクト化(容量・重量の半減化)を図るとともに、コストも大幅に引き下げた「コズミックスTM」の開発に成功。日本で公害対策が進んだあとは海外へも市場を広げ、各国で環境問題の解決に貢献して高い評価を獲得しました。

また、排煙脱硫装置と同様に耐摩耗性や耐腐食性が求められる製紙プラント、耐摩耗性を活かした鉄鋼プラント、耐腐食性が欠かせない化学プラントなどの分野でも、世界中で数多くの製品が活躍しています。

現在では、標準品で99.5%、特殊品では99.9%の高純度を誇るアルミナ製ファインセラミックスをはじめ、用途に合わせて炭化ケイ素や窒化ケイ素、ジルコニアなどさまざまな材質を用いたファインセラミックスバルブを取りそろえ、ながれ(流体)制御機器の可能性をさらに大きく拡げようとしています。

ファインセラミックスバルブ コズミックス
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フジキンの歩みは、いつも技術へのこだわり。フジキンの歩みは、いつも技術へのこだわり。