製品情報

高機能サニタリー用ソフトダイヤフラムバルブ

超モノづくり部品大賞「奨励賞」受賞製品 表彰状

2011年 第8回
超モノづくり部品大賞「奨励賞」受賞製品

2011年「超モノづくり部品大賞」
高機能サニタリー用ソフトダイヤフラムバルブ
推薦文 大阪大学 名誉教授 世古口 言彦

モノづくり日本会議様と日刊工業新聞社様主催による「超モノづくり部品大賞」に於いて、フジキンの「高機能サニタリー用ソフトダイヤフラムバルブ」が、平成23年12月6日、奨励賞の栄誉に輝きました。ご推薦を賜りました大阪大学名誉教授 世古口言彦先生をはじめ皆様の温かいご支援によるものと、厚く厚く感謝申し上げますとともに、ここに謹んでご報告申し上げます。

製薬における市場規模は、近年恒常的に増加してきているが、今後も継続して成長を遂げるものと目されている。また、最近では新型鳥インフルエンザのパンデミックが近い将来猛威を振るうとの報道から、製薬業界に対する国際社会の関心が高まっており、民間、行政を挙げてのウィルス対策や他の脅威への対策など、更なる大規模な取り組みが日本国のみならず全世界でなされようとしている。

一方、医薬品製造プロセスに対する国際社会の品質要求は日々高まっており、常に正常な品質が維持できるよう多大の努力が払われてきた。その一端は、米国の医薬品品質管理規則であるGMP(Good Manufacturing Practice)において細部に亘る記述がなされていることからも伺うことができる。

仮に、品質に問題が生じ、製品のロット不良が起こった場合の損失は容易に数千万円オーダーに達するものであるために、経営の健全性を維持する観点からも高い信頼性と安定性に富んだ製造技術を確立することは最重要事項となっている。

上記の医薬品業界における市場動向、並びに品質に対する要求と同様のことが食品製造業界においてもみられ、その製造部門における技術の高度化もまた強く望まれている。

これらの製造プロセスのより良好な操業には、キーツールとして重要な役割を担っているダイヤフラムバルブの設計・製作の両面における更なる技術的進歩が必須であったが、このたび、フジキンが開発した高機能サニタリー用ソフトダイヤフラムバルブは、製薬及び食品業界の上述のような要望に応えるもので、その中には信頼性の向上に資する新工夫が結集されている。

新工夫の主要点は、ダイヤフラムを構成する樹脂製ダイヤフラムとゴム製のバックアップのうち、樹脂製ダイヤフラムだけで外部とのシール保持を行う方式をとっている点で、これまでのようにゴム製のバックアップにもシール保持をさせることにはなっていないことである。

ゴム製のバックアップには、バルブの開閉の繰り返しがもたらす形状の崩れが回避できるように、厚さを薄くすると共に、硬度を高める工夫がなされている。形状の崩れる懸念が排除されたことは、バルブの使用当初の流量特性が長期間に亘って高い再現性を維持することに寄与するもので、生産される製品の品質管理の視点からきわめて重要な意味を持っており、高く評価されるものである。

特に、本設計を特徴付けているのは、樹脂製ダイヤフラムの鍔部に設けられた流体閉止を役割とする環状突起の外側に、バルブのボディとボンネットが相対的に正しく位置するためのガイドの役割を担う環状突起を付設した複合的機能を有するダイヤフラムを採用している点である(構造特許)。

シール機能を環状突起に付与することによって、シールを平滑面で行う場合に比して、シール機能に対する信頼性が大幅に向上し、プロセスの緊急停止や製品のロット不良という生産ラインの致命的な欠陥を解消している。

さらに、環状突起がシール機能を担う方式を採ることによって、ダイヤフラムとボディの接合部に形成される隙間に液体が溜まる量を著しく低減させることが可能となっている。

以上、要するに新ダイヤフラムの特色は、樹脂製とゴム製の2種類の膜の役割を明確にし、それぞれの膜の機能を効果的に発揮させることに重点を置いた設計手法をとった点にある。

これらの独創的技術は、医薬品製造並びにこれと類似の操作を行う各種の製造業における製造プロセスの信頼性と安定性の向上に貢献しうるという点で高く評価されるべきものである。

 ゆえに、今回の応募部品であるサニタリー用ソフトダイヤフラムバルブの開発は、国の政策であるインフルエンザ対策の強化に合致した企業活動ということができる。

その意味において、今回応募の「高機能サニタリー用ソフトダイヤフラムバルブ」は、日本における医薬業界の発展に大きな役割を担うことを確信し、2011年「超モノづくり部品大賞」に推薦いたします。

1. 部品の内容および特徴

当ダイヤフラムバルブは医薬・食品向けのプロセスラインに使用されるものです。

弊社では従来から、医薬・食品向けのバルブとしてサニタリー用ソフトダイヤフラムバルブを製造・販売して来ましたが、近年みられるユーザーからの要求の高度化に対応すべく、従来製品の問題点であった外部シール性能の脆弱性を解消、バルブ開閉や経時変化による初期流量からの変動を低減、液溜まりを最小限にしたシリーズとして新たに開発致しました。

弊社比では従来品と比較して外部シール性能の保持期間は10倍以上、流量変動率は従来品の1/30以下となっております。

また、ダイヤフラム材質として接液側には耐屈曲性に優れた変性PTFEを、準接液部となるバックアップゴムには耐蒸気性に優れたEPDMを採用し、いずれもFDA(アメリカ食品医薬品局)及びUSP(米国薬局方)クラスⅥに適合しております。

2. 評価項目

(1)技術の独創性

(1)-1 外部シール性能の向上

従来製品では、PTFE/ゴムの二層構造となったダイヤフラムの外周に突起を設け、上下フランジにて押さえ込むことで外部シール性能を保っておりました。

この際、①温度による変形、膨張収縮が起こりやすいゴム材質を挟み込んでいることで、使用時の温度サイクルや経時変化によって締付部の応力が緩和され、シール面圧が低下することで外部漏洩の原因となっておりました。

②バルブ開閉作動によるダイヤフラムの径方向の変形により、外周のシール部突起が僅かに摺動することで突起が摩耗し、シール力が低下することで外部漏洩の原因となっておりました。

本バルブでは①の対策としてゴム材質を挟み込まずにPTFE材質のみを挟みこみ、ゴム材質は溝の内部に閉じ込めることで締付部の面圧低下を防止し、外部シール性能を向上させました。

また、②の対策としてダイヤフラム外周のシール部突起の外側に新たな固定用の突起(ガイド)を設け、ボディとボンネットに設けた溝にはめ込むことで、ダイヤフラムの径方向の変形を抑制して外周のシール部突起の摩耗を防止しました。

高機能サニタリー用ソフトダイヤフラムバルブ

(1)-2 流量特性変化の低減

従来製品では、バックアップゴムに柔らかい(硬度の低い)材料を使用しておりました。

これはバックアップゴムの膜厚が厚く、屈曲時の負荷が大きいため、ゴム材質の屈曲性を高める必要があることによります。ゴム材質の屈曲性を高めると、バルブの開閉作動によるバックアップゴムの変形は大きくなり、変形の過程で接液側のPTFEも大きく変形させることから流路が狭くなり、流量特性の変化を生じさせていました。

本バルブではゴムの膜厚を薄くすることで、屈曲性を維持したままバックアップゴムの硬度を上げ、バックアップゴムの変形を防止することで、流量特性の変化を低減しました。

(1)-3 液溜まりの最小化

従来製品では、ダイヤフラムとボディを組立てる際の位置合せが難しく、位置がずれても外部シール性能を維持出来るように、ダイヤフラム外周のシール部突起が接触するボディ平面部を広く設ける必要がありました。

この結果、ダイヤフラムの外周シール部の突起とボディ平面部との隙間が大きくなり、この部分に液が溜まることでバルブ内部の液置換特性が低下していました。

本バルブではダイヤフラムの外周に固定用突起(ガイド)を設けることで、ボディとダイヤフラムとの位置ずれをなくしたため、ボディの平面部を最小限にし、液溜まりによる液置換特性の低下を最小限にすることができました。

(2)性能

外部シール性能に関して、弊社にて実施した耐久性能確認試験において従来品と比較した結果、バルブ開閉1万回後に漏洩が発生した従来品と比較して、本バルブはバルブ開閉10万回後にも外部漏れがありませんでした。

流量特性変化においては、初期流量と比較した開閉試験後の流量特性の低下率は、高温真空状態での開閉耐久試験※1において、初期流量から30%低下した従来品と比較すると本バルブでは1%以下の低下に留まりました。

また、(1)-3項に記載致しましたとおり、液溜まり部を最小にしたことにより、バルブ単体の液置換性能が高まりました。

【注】

※1
高温真空下での開閉耐久試験は通常のユーザー様の使用条件と比較するとはるかに厳しい条件ですが、今回、従来品との性能差を明確にするために実施しました。

図1. 従来製品とのダイヤフラム構造比較

図1. 従来製品とのダイヤフラム構造比較

図2. 従来製品とのボディ構造比較

図2. 従来製品とのボディ構造比較

(3)経済性

本バルブをご採用頂く事により、①外部シール性能の大幅な向上によって外部漏洩の危険性及び、配管内が真空状態となった際に配管内へ外気が流入することを防止出来ます。

これにより、ユーザー様でのメンテナンス周期の延長と製品の汚染等による不適合要因を取り除くことができます。

②流量特性変化を低減したことにより、充填用バルブとしてご使用頂いているユーザー様に対して、充填時間、圧力等の条件調整を頻繁に行う必要がなくなり、作業時間を短縮できます。

③液溜まりを最小にして液置換性能を高めたことにより、効果的に薬液洗浄(CIP)や蒸気滅菌(SIP)を行えます。また、液溜まりによる汚染のリスクを低減することで製品の不適合要因を取り除くことができます。

以上よりユーザー様の生産効率を上げランニングコストを下げることが可能となりました。

(4)実績と今後の普及見通し

現在までに約4,000台以上の出荷実績があります。

今後はサニタリー用ソフトダイヤフラムバルブの主力製品として既存製品からの置き換えを軸とし、年間3万台の販売を目指しております。

(5)安全性および環境への配慮

外部シール機能を高め、液溜まりを最小にしたため、医薬品・食品等の製造プロセスにおいて製品が汚染されるリスクを軽減します。

ダイヤフラム材質は、FDA(アメリカ食品医薬品局)及び、USP(米国薬局方)クラスⅥにも適合しております。