2012年 第9回
モノづくり部品大賞「機械部品賞」受賞製品
『世界初 高純度ガス供給システムのモジュール化に成功、ガス供給システム設計プロセスの革命と伝統技術の継承新設計手法による新製品』
モノづくり日本会議様と日刊工業新聞社様主催による「モノづくり部品大賞」に於いて、2012年11月28日、フジキンの「スティックIGS®」が受賞致しました。9年連続受賞を達成し、受賞回数の記録を更新しました。皆々様の温かいご支援に心から感謝申し上げます。
半導体製造設備の中のガス供給システムの構造。多様化する、お客様のご要求により様々な設計が発生するため、ガス供給システムのガスパターン設計には設計製作コスト、製作期間を要していました。
多様化するお客様のご依頼に対応するため、ベースとなる土台(プレート)部分においてだけで、約500種のその都度設計、その都度生産が発生し、効率の悪い精密部品でした。
約1000種類のガスパターンを徹底分析、細分化したスティック構想によりプレートを共通化し、スティック種類を6種類用意することにしました。そのことにより、全ガスパターンの80%をカバーでき、ガス供給システムをモジュール化、パターン化することが可能となりました。単純化することで生産の標準化が可能となり、国内でしか製作できなかった複雑なガス供給システムも海外での生産が可能となり、製作期間の短縮、コスト削減効果に寄与できる構造となっています。
(1)各スティックの固定は、耐振性を考慮しねじを使用しない日本古代からの木造神社建築のくさび構造からヒントを得、凹凸構造を採用しています。
(2)日本古代の伝統ある木造建築の設計思想を金属製へと転換させました。
(3)上下各1本の支持材に10数本のスティックがぶら下がる構造となっています。
(4)ただ頑丈にするのではなくスティックそのものの重さを生かし、支えあう構造としています。
(5)スティック荷重を支える上下支持材はステンレス製とし、必要荷重に耐えられるような板厚と剛性ある構造としています。
(6)スティックと上下支持材の位置固定は、メンテナンス性を考慮したはめあいの凹凸構造となっています。
(7)凹凸部はレーザー加工で精密に加工された後、曲げ加工され完成となります。
(8)ステンレス曲げ加工後の変形を見越し、変形後のはめあいがしっくりとなるよう細部にこだわった設計がされています。
(9)急なお客様の変更依頼にも対応できるようスティック単位で簡単に着脱が行える構造となっており、各種ガスパターンへの変更が自在に行える構造となっています。
(10)凹部は様々なガスパターンに対応できるよう10mmピッチで加工されています。
(11)共通化されたスティックを組合わせ、完成形は多様化するガスパターンに対応できる構造となっています。
(12)支持材にはスティック幅に合わせて3色のシールを貼付してスティック取り付け防止間違いが起こらないよう工夫しています。
従来構造からスティック構造への変更にともない
(1)スティック荷重変形試験、リーク試験、振動試験等々、各種性能試験を実施し、従来構造と同等性能以上であることを確認しています。
(2)特に『剛性』と『振動』については重要視し、荷重を受けた時のたわみ量低減のため細部へのこだわりと同時に輸送振動や装置側から受ける振動に対する耐振性を追求しました。
2011年12月販売開始以降、国内半導体装置メーカ-A社様のガス供給システムとして採用が決定。日本のみならず世界各国のデバイスメーカ-様向け半導体製造装置のガス系供給システムとして順次採用いただいております。(2012年11月現在採用実績:140装置)
設計~機器選択~最終検査に至るまでの工程は、それに携わる社員のスキルはもとより一品ごとの手作りのような製品であったガス供給システムは、納期面、ひいては価格面でも問題がありました。
ガス供給システムをスティック構造化することにより、
(1)ガス供給システムを何種類かのモジュールでパターン化することが可能となったことにより製作工数の短縮化につながり、
(2)生産の標準化が図れ、かつ、海外生産も可能となり、コスト削減効果が大いに期待できます。
(3)以上により、今後のガス供給システムとして大いに普及が見込まれています。
掲載新聞記事
2012.5.24付 日刊工業新聞(朝刊)『フジキン ガス供給モジュール化、半導体製造向け8割に対応』の記事で取り上げられました。