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顔が見える!近くのフジキン再発見!

Fujikin Vietnam Co., Ltd.

Fujikin Person

株式会社フジキン
Fujikin Vietnam Co., Ltd. 社長

世界屈指のベトナムブランド構築を目指して

2018 年10 月、フジキンカープグループ(FCG)のベトナムの3拠点を統合し、新会社フジキンベトナム(FV)が誕生しました。

この拠点統合の狙いとベトナムにおける製造や開発、人財育成の現状と展望について聞きました。

グローバル社会を見据えた海外初進出

Fujikin Vietnam Co.,Ltd. ▲Fujikin Vietnam Co., Ltd.
レンタル工場設立時(タンロン工場) ▲レンタル工場設立時(タンロン工場)
タンロン工場の機械場 ▲タンロン工場の機械場

2002 年9 月、現地法人「フジキンベトナム」を設立し、ハノイ近郊のタンロン工業団地に工場を設立しました。フジキンはアメリカですでにカーテンコントロール社を買収していましたが、一から海外で生産拠点を設立するのはこれが初めてでした。当時は常務執行役員(現:取締役)の野島新也がフジキンベトナムの社長を務めておりました。
野島は海外進出に当たって、「その国が安全、安心か」「吾々がその国を好きになれるか」「インフラ、経済的なメリットがあるか」という三条件を重視していました。ベトナムは3つの条件をすべてクリアしており、アジアの中心に位置するので輸出するうえでも好条件の立地です。

タンロン工場はレンタル工場からスタートしましたが、設立の数年後に第2期の工業団地の借地権を購入、レンタル工場の約5倍の床面積を有する自社工場を建設し、2006年2月に移転しました。当時は日本製の工具や部品がベトナムにほとんどなく、機械が故障するとシンガポールやマレーシアなどの海外に修理を依頼するという状況でした。また、日本とは気温や気候が全く異なるので、機械加工の際に油の粘度が変わって、日本と同条件で製品を仕上げることができないという苦労もありました。

タンロン工場では主に、筑波フジキン研究工場(現:万博記念 つくば先端事業所)や大阪工場で創るバルブや継手のボディ加工・研磨を行っています。その他完成品を台湾や中国へ輸出しており、その出荷比率は日本と日本以外で約半々となっています。タンロン工場は輸出加工企業(EPE:ExportProcessing Enterprises)なので、輸出入関税や付加価値税が免除されるというメリットがあります。

Fujikin Vietnam Co., Ltd.

ベトナム工場

H-2B plot, Thang Long Industrial Park, Vong La Commune, Dong Anh District Ha Noi, Viet Nam

TEL:+84-24-38812566 / FAX:+84-24-38812577

タンロン工場の人財育成

改善活動の様子 ▲改善活動の様子

タンロン工場では人財育成を兼ねた改善活動にも注力しました。どれぐらい効率よく作業ができるように整理整頓されているかを各部門で競い、優秀な部門へは賞金を授与します。月1度、各部門を巡回して評価し、順位を決定します。

TPM(Total Productive Maintenance)と呼んでいる改善活動も行っています。50~60チーム(1チームあたり6~10人)に編成し、コンサルの先生からご指導を受けます。半年ごとに1テーマの改善に取り組んでチーム間で競います。この改善活動を始めた時期は「作業するために仕事に来ているのに、こんなこと無駄ではないのか?」と反発もされました。チームのリーダーを半年ごとに持ち回りで決めていったので、5 年も経つとみんながリーダーを経験するようになり、他人事とは思わずに個々の改善意識が高まるようになりました。

ビナワールドリンクとバクニン工場の設立

バクニン工場の竣工式 ▲バクニン工場の竣工式

フジキンのベトナムの事業が軌道に乗り、今後ますます発展していくと見越して、2011年ハノイに商社会社、「ビナワールドリンク」を設立、2016年にはホーチミンにも支店を開設しました。フジキンの商・製品だけでなく、バルブも含めた他社様のベトナムの商品を海外へ輸出したり、また海外からもさまざまなものを輸入するなど幅広い商品を取扱いました。

2005年を過ぎたころ、バクニンに新しい工業団地(Vietnam Singapore Industrial Park)ができるという情報をベトナム政府から入手しました。ベトナムでの生産体制の強靭化を図るため、「フジキンバクニン」を設立、2013年に新工場を完成しました。バクニン工場は製薬会社様等を中心としたお客様が多く、バフ研磨、電解研磨、溶接を駆使したサニタリー・バイオ関連の配管製作に強みを持っています。タンロンは輸出中心なのに対して、設立当初バクニンは地場産業を対象にNon-EPE としてスタートを切りました。

官学産社(民)連携や共創会社様との連携

超音波診断装置「MUSシリーズ」 ▲超音波診断装置「MUSシリーズ」

2012 年にフジキンは医療業界に参入し、2016 年に超音波診断装置の製造販売を開始しました。製造はつくば先端事業所で行っていますが、ビナワールドリンクでも販売するようになりました。ベトナムの病院に販売するには価格面で課題があることに加えて、このような医療機器が病院にとって必要だということを伝えなければなりません。2018年9月には越日外交関係樹立45 周年の関連事業のひとつとして、ハノイ市ドンダー区の国立小児病院様へ超音波診断装置と、衣服内温度計「Ran’s Night Self」を寄贈しました。

また、「遠隔医療ソフトの実証試験」において株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所様、ViewSend ICT株式会社、フジキンソフトからの受託事業として遠隔医療ソフトの実証試験のサポートを行いました。ホーチミンやダナンの病院と日本の大学病院をオンラインで結んでX線画像のやり取りを行うものです。ベトナムは医療面で大きく成長する可能性を有しています。

ソフト面では2016 年からベトナムのベンチャー企業、Rikkeisoft様にご共創いただき、機械工具の摩耗時期の診断システムを構築しています。例えば、500回加工すれば工具を取り替えるというルールをつくったとしても、工具の種類や条件によって実際の寿命は変わってきます。300回が適切であるにもかかわらず500 回目で取り替えると不良品が発生しやすいし、700回が適切であれば500回目で取り替えると費用が無駄となります。この取り替えるタイミングを数値化してシステム化できれば、商品として販売できると考えています。

ベトナム人の可能性

The Branch of Fujikin Vietnam Co., Ltd - BAC NINH FACTORY. ▲The Branch of Fujikin Vietnam Co., Ltd - BAC NINH FACTORY

ハノイ工科大学出身のつくば先端事業所で7、8 年間設計に携わっていた社員が、現在タンロン工場に1 人、バクニン工場に1 人勤務しています。1人はバルブ関連の設計、もう1人はユニットや装置関連の設計を担当していました。その2人の社員が、現在ベトナムのメンバーを指導して育成するポジションに立っています。

ベトナムに進出したばかりの頃は、人件費の安さが現地人雇用の大きな理由になっていましたが、ベトナム人は勤勉な方が多く、現在では高度な技術を身につけている方が増えました。2002 年と比較すると、賃金も約4 倍に上がっています。
これからは労働者としてのベトナム人ではなく、頭脳集団としてのベトナム人を育成していきたいと考えています。

フジキンベトナムとして新たな出発

TThe Branch of Fujikin Vietnam Co., Ltd - VWL ▲The Branch of Fujikin Vietnam Co., Ltd - VWL Hanoi.

2018年10月にタンロン工場、ビナワールドリンク、バクニン工場が統合し、「フジキンベトナム」として新たな会社が誕生しました。バクニン工場はEPEでなかったため、輸出入の際には関税がかかるだけでなく、工場間の移動にも税関を通すにも規制がかかっていましたが、統合を機に、バクニン工場もEPEとして登録を変更、EPEとしての優遇処置が受けられることになるとともに、タンロン工場と、バクニン工場間の設備等の移動も制限を受けずに行けるようになりました。地場産業だけでなく、グローバルなビジネスをベトナムから展開していき、3年後には売上を現在の倍にしていくことを見込んでいます。

また、ベトナム人スタッフの高度化に伴って、製造だけではなく、つくば先端事業所で行っている開発・設計・解析もベトナムで同じようにできる環境を整えていこうと構想しています。日本の下請企業のイメージが強かったベトナムの工場を、これからはお客様のご要望になんでもお応えできる、独立した総合的な工場へと進化させていき、請負業務だけでなく、自社の商・製品を製造していく企業へと成長させたいと考えています。

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