
なぜチョウザメ養殖が必要なのか
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ボルガ川周辺のダム建設・工場排水・乱獲
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チョウザメ資源の急激な減少
ソビエト連邦の崩壊→カスピ周辺国の無秩序な乱獲・密漁 -
漁獲管理ができず、絶滅の危機に!
CITES(ワシントン条約)の規制対象魚種に!!
とうとうと流れる母なる川 ボルガ。そして川幅3キロメートルとなって、辿り着くところは、世界最大の湖、カスピ海。チョウザメ漁業はこの地域で古くから最も盛んに行われてきた産業のひとつです。
チョウザメ資源の減少
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- 第2次大戦後当時のソビエト連邦では、重工業開発が盛んに
- 河川周辺には工場が建ち並び、大量の汚水が放流
- 1970年代にカスピ海の水位が低下する現象が起こる
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チョウザメ資源は少しずつ減少!
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チョウザメ資源の減少→需要過多→ソビエト連邦崩壊→「密猟者」増加
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1990年代の10年間で、カスピ海に生息するチョウザメの数は、1/4まで減少。
(出典:「チョウザメ目の保全と日本の役割」高橋そよ)
カスピ海近隣諸国での対策
チョウザメふ化場の増設
ボルガ川を移動中の船上パーティーで振舞われたフレッシュキャビアの味に、世界三大珍味に何故キャビアが名を連ねているかをはじめて実感する。
チョウザメの「禁漁期」
取締りを強化する施策
ワシントン条約(CITES)の対象品目
「キャビア」自体をワシントン条約(CITES)の対象品目とし、輸出入を管理
でも・・・。自然界でチョウザメが卵を持って川を遡上するまでには、15~20年掛かるのです。
チョウザメ資源を守る為、さまざまな努力がされていますが、根本的な解決策になっていません。何が大切なのか。周辺諸国の人々を含む全世界の意識が自然の仕組みを理解し、その自然とうまく付き合おうとすることではないでしょうか。
公害対策を施さない工場の建設、乱獲をする密猟者・漁業者だけが悪いのではありません。そうさせているのは、我々消費者なのです。
22世紀になっても、カスピ海が「チョウザメの母なる湖」でありつづけることを願ってやみません。

ボルガ川のダムの手前で、ロシアの職員がチョウザメの調査捕獲をしているところ。中央の小船では、100kg近いチョウザメを引き上げているところが映っています。