水素社会を支える
フジキンの技術力

液体水素の超低温、
-253℃に耐えるバルブ

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始まりは宇宙ロケット用バルブの開発

フジキンと水素の関わりは、1976年にスタートした宇宙ロケット用バルブの開発から始まります。人工衛星や惑星探査機を宇宙に運ぶ液体燃料ロケットは、-253℃の液体水素と-183℃の液体酸素を燃焼室で混合・燃焼させて宇宙へ飛び立ちます。フジキンは、この超低温に耐えるバルブを独自の技術で完成させ、日本の宇宙開発に大きく貢献しました。

始まりは宇宙ロケット用バルブの開発
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水素のサプライチェーンに不可欠な存在

水素社会を実現するには大量の水素を流通させる必要があり、輸送や貯蔵などさまざまな段階で、気体に比べて体積を格段に小さくできる液体水素の取り扱いが欠かせません。そこで活躍するのが、宇宙ロケットの分野で実績を積み重ねてきたフジキンのバルブ。水素社会における「ながれ」制御にも、なくてはならない存在です。

貯蔵・供給時の超高圧、
99.9MPaをクリア

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技術の蓄積で従来の常識を超える高圧領域へ

宇宙ロケット用バルブに求められるもう一つの特性は高圧への対応です。液体水素や液体酸素の気化を防ぐため、ロケットの燃料タンクには高圧で一気に充填する必要があります。当時、工業用バルブの耐圧性能は25MPa程度でしたが、フジキンはロケット用バルブで求められる50MPaに対応。さらに、圧縮天然ガス(CNG)ステーション用のバルブ開発にも参画し、超高圧ガスの制御技術を一段と高めました。

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燃料電池自動車の航続距離延長にも貢献

こうした技術の蓄積をもとに、フジキンは水素ステーション用バルブで宇宙ロケット用の約2倍に当たる99.9MPaの耐圧性能を実現しました。これは指先ほどの面積(約1cm2)でおよそ1トンの荷重を支える計算になります。さらに、水素によってバルブ素材の強度が低下する水素脆(ぜい)性への対応技術も確立。この超高圧水素ガス適合バルブによって、燃料電池自動車のタンクに充填できる水素の量が飛躍的に増加して航続距離が延び、燃料補給に要する時間も短縮できるようになりました。

超高圧水素配管を
安全に結ぶ継手を開発

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高圧下での漏えい防止を徹底

例えば水素ステーションには増圧器や蓄圧器、ディスペンサーなどが設置され、数多くの配管で結ばれています。安全確保のためには、こうした超高圧水素配管からの漏えいを確実に防止しなければなりません。フジキンが開発した半導体製造装置用のメタルガスケット継手は漏えい防止に優れた性能を発揮しますが、超高圧下でのシール性能に課題がありました。そこで、シール部の構造を全面的に見直して実現したのが、超高圧水素配管用のメタルガスケット継手(UPG®)です。

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施工性・メンテナンス性も大幅に向上

UPG®継手は水素の漏えいを防ぐとともに、着脱を繰り返しても耐圧部品への負荷が小さく、また着脱時は軸方向への引き抜きスペースが不要なため、機器を1カ所だけ取り外してメンテナンスすることが可能。過剰締め付け防止機構を内蔵しているため、取り付けの際もより安心して施工できます。

ながれ(流体)制御の課題解決
エンジニアリング部へ

施工性・メンテナンス性も大幅に向上。