持続可能な社会への切り札
水素とは?

ほぼ無尽蔵のクリーンエネルギー

1

海を含む地表面で3番目に豊富な元素

石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料には限りがあり、太陽光や風力などの自然エネルギーは昼夜の別や気象条件で発電量が左右される弱点があります。そこで注目されているのが水素です。宇宙では最も多く、地表では3番目に多い元素で、大半は海水の状態で存在しているため、ほぼ無尽蔵に安定して活用できるエネルギーといえます。

海を含む地表面で3番目に豊富な元素。
2

発電時に排出されるのは水だけ

水に電気を流すと電気分解によって酸素と水素が発生しますが、これとは逆に、酸素と水素を反応させると電気をつくることができます。この反応を利用したのが燃料電池です。発電するときに発生するのは水だけ。化石燃料を使った発電で排出される二酸化炭素などの温暖化ガスや大気汚染の原因となる物質は発生しません。

発電時に排出されるのは水だけ。

水素は危険? 実は大きな誤解です

3

約80年前の飛行船事故が誤解の始まり

水素は爆発するから危険。そんな話を聞いたことはありませんか。80年以上前にアメリカで大型飛行船が炎上事故を起こしたことから広まったウワサのようですが、近年では飛行船の塗料と燃料の油による火災だったという説が有力です。水素は燃えやすい物質ですが、それはガソリンや天然ガスも同じ。扱い方次第で安全に活用できます。

約80年前の飛行船事故が誤解の始まり。
4

万一漏れても上空へすばやく拡散

数多くある気体のなかで最も軽いのが水素。これも安全性につながる特性の一つです。ガソリンが漏れたら地面に広がり、LPガスも空気より重いため下の方に溜まりますが、水素は大気中を上昇しながら素早く拡散して薄まるため、火がつきにくく、引火しても炎は縦方向に伸びて、横方向に燃え広がることはありません。

万一漏れても上空へすばやく拡散。
5

水素タンクでは銃弾の貫通試験まで実施

例えば燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)には、軽くて強い炭素繊維やガラス繊維による強化プラスチック(FRP)を使用して優れた強度と耐久性を実現した3層構造の高圧水素タンクを搭載。さまざまな衝突実験や火災実験を繰り返して水素漏れを防止しています。さらに、万一の犯罪などに備えて銃弾を撃ち込む試験も実施。非常に強力な銃弾を使用した場合にタンクを貫通することはあっても、容器の破裂はありませんでした。

水素タンクでは銃弾の貫通試験まで実施。