超低温スペーステクノロジー 目覚ましい進歩をとげる宇宙開発にも、フジキンの超精密バルブが関わっています。

1955年4月、東京大学生産技術研究所教授・故糸川英夫先生が中心となって行われた発射実験で、日本に宇宙開発の幕開けを告げたのは全長わずか23cm、重量202gという超小型の「ペンシルロケット」でした。

それから60年、現在の主力大型ロケットであるH-ⅡAロケットは全長53m、重量289t。H-ⅡAの打ち上げ能力をさらに向上させたH-ⅡBロケットは全長56m、重量531t、低軌道への打ち上げなら約16.5tの物資を運ぶ能力を備えています。このように著しい進歩を遂げてきた日本の宇宙開発技術に、フジキンの超精密バルブ機器は深くかかわっています。

H-IIAロケット H-IIBロケット

宇宙開発事業団 NASDA(現・国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 JAXA)様から委託を受けたフジキンが、業界初のクリーンルームを設置して宇宙開発用バルブの開発をスタートさせたのは1976年。海外の技術に頼ってきた宇宙ロケットを国産化する機運が高まっていた時代です。

液体燃料ロケットで推進剤として使用される液体水素の温度は-253℃、酸化剤の液体酸素は-183℃で、これらを制御するバルブには超低温への対応が求められました。また、発射設備では燃料の蒸発を防ぐため短時間で充填できるよう高圧への対応が不可欠であり、水素によってバルブ素材の強度が低下する問題を解決する必要もありました。

こうした数々の課題をクリアして、1978年には液体酸素/液体水素エンジンの供給系試験設備で、フジキンは宇宙開発用バルブ機器の国産化を実現。以来、各地の燃焼試験設備や発射設備、そしてロケット本体にも次々と採用されるようになりました。

液体酸素-183℃ 液体水素-253℃

フジキンのバルブ機器は、宇宙開発の進展に伴って活躍の場をさらに広げていきます。

たとえば、ロケットで打ち上げられた静止衛星を目的の軌道へ移動させるためのアポジエンジンで燃料の供給・遮断を行うバルブを開発。誤操作防止のための特殊ロック機構や電子ビーム溶接による外部漏洩防止策で信頼度予測値99.9999%を実現し、その機能を存分に発揮しました。

有人宇宙飛行の分野では、スペースシャトル「エンデバー」で日本人宇宙飛行士・毛利衛氏が行った“コイの宇宙酔い実験”や日本人初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんがスペースシャトル「コロンビア」で行った“国際微小重力実験IML-2”で、フジキンのながれ(流体)制御機器が用いられています。

さらに近年では、国際宇宙ステーション(ISS)において、日本の有人宇宙実験施設「きぼう」の空気調和装置に逆止弁が採用されました。これは装置内に取り込んだ空気を循環させ、逆流を防止するための機器で、宇宙飛行士が実験・居住する空間を安全・快適にコントロールする重要な役割を担っています。

衛星用エンジンの燃料遮断弁 有人宇宙実験施設「きぼう」 衛星用エンジンの燃料遮断弁 / 有人宇宙実験施設「きぼう」

宇宙用バルブ機器が使用される環境は極めて過酷です。人工衛星を軌道に乗せるには秒速7.9km、時速に換算すると約28,000kmもの速度が必要で、発射時には大きな力や振動が発生します。さらに宇宙空間では大気や重力がほとんどなく、さまざまな放射線も降り注ぎます。フジキン製品はこうした環境に耐え、高度なニーズに応えてきました。

2007年には、技術水準や経済性で世界のトップレベルにあるといわれるH-ⅡAロケットの開発から打ち上げサービスの実現まで幅広く貢献したとしてJAXA様から感謝状をいただくなど、その優れた技術力と信頼性は高く評価されています。

H-ⅡAロケットに続く新型基幹ロケットH3の開発はもちろん、新たな資源の確保など人類の未来にとってますます重要性が高まる宇宙開発の分野で、フジキンは一層の貢献を果たしてまいります。

H-IIAロケット
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フジキンの歩みは、いつも技術へのこだわり。フジキンの歩みは、いつも技術へのこだわり。