超高圧ハイドロゲンテクノロジー 水素の製造から輸送、貯蔵に至るまで、フジキンの技術はますます大きな役割を担います。

水を電気分解すると水素と酸素が発生する―中学生のころ、そんな実験をしたことを覚えていませんか。その逆に水素と酸素を反応させると電気と水が発生します。これが、近ごろよく耳にする燃料電池で、発生した電気エネルギーでモーターを回して走行するのが燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)です。

FCVでは搭載した水素と空気中の酸素を反応させて発電し、走行時には温暖化の原因となる二酸化炭素や大気汚染を引き起こす煤(すす)などの粒子状物質を排出せず、出るのは水だけ。このため“究極のエコカー”ともいわれ、日本では2014年12月にトヨタ自動車様から初の市販車「MIRAI」が発売されました。

水素エネルギーとは?

世界的に環境問題への関心が高まるなか、燃料電池自動車の普及には大きな期待が寄せられています。また、水素は宇宙で最も豊富な元素で、地球上でも海水などさまざまな物質にほとんど無尽蔵に含まれているため、資源問題の解決にもつながるといわれます。

ただし、燃料電池自動車の普及のためには解決しなければならない課題があります。その一つが、従来の自動車にはガソリンスタンドが欠かせなかったように、燃料電池自動車には水素を補給する水素ステーションが必要だということです。

現政府は、2015年度中に100カ所程度の水素ステーション設置を目指し、多くの関連企業が開設に向けた取り組みを進めています。フジキンも水素ステーションで用いられる超高圧水素ガス適合バルブ機器を製造しており、その国内シェアは7割以上に達しています。

水素ステーションは2015年度中に100カ所

フジキンが超高圧水素ガス適合バルブ機器を開発する技術的ルーツとなったのは、前回ご紹介した半導体製造用バルブと同様、宇宙ロケット用バルブの開発でした。液体水素と液体酸素を混合して燃焼させる宇宙ロケットの燃料制御を通して、高圧への対応や水素によってバルブ素材の強度が低下する水素脆(ぜい)性への対応技術を蓄積したのです。

ただし、水素ステーション用バルブでは、宇宙ロケット用の約2倍、84MPa(約840気圧)という超高圧への対応が求められました。小指の先ほどの面積(約1cm2)当たりにおよそ840kgの荷重がかかることになります。フジキンでは150MPaまで加圧できる試験装置を導入し、約3年の歳月をかけて新しいバルブ素材やシール構造を開発。高度な開閉耐久試験もクリアして、この厳しい条件に耐える調節弁・遮断弁を開発しました。

水素ステーション用バルブは84MPa(約840気圧)対応

燃料タンクに水素を送り込む圧力を高めたことで、水素の搭載量が増えてFCVの航続距離が飛躍的に伸び、また燃料補給に要する時間も短縮されました。これらのバルブは、2008年に日刊工業新聞社およびモノづくり推進会議による「超モノづくり部品大賞 環境関連部品賞」を受賞しています。

フジキンでは、その後もコンパクト化・高信頼化を図るとともに、より高圧なガスへの適合を目指して技術開発を進め、現在では150MPa対応の調節弁を実現。ラインナップも調節弁・遮断弁のほか、手動バルブ、フィルター、逆止弁、継手、さらにFCVに搭載する安全弁など多岐にわたっています。

コンパクト化・高信頼化を図るフジキンの製品

いよいよ動き始めた、燃料電池自動車の時代。それは、本格的な水素社会の幕開けでもあります。従来の化石燃料に代わって水素が社会を動かすエネルギーの主役になるとき、フジキンのバルブ機器も水素の製造から輸送、貯蔵、利用までますます大きな役割を果たし、持続可能な未来の実現に貢献します。

水素エネルギー×フジキン
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フジキンの歩みは、いつも技術へのこだわり。フジキンの歩みは、いつも技術へのこだわり。