国際的に2050年カーボンニュートラル化への取組みが進みつつある中、フジキンにおいても全社での温室効果ガス(GHG)排出量の把握をするべく、取組みを進めているところです。
当面は、温室効果ガス排出量の把握ルールとして広く認められているGHGプロトコル上のScope1とScope2の排出量の把握を進めており、準備が整えば結果を公表していく予定です。
社員個人の地道なSDGs活動を表彰する制度を2022年度に創設して、社員(個人、グループ)のSDGs推進活動を奨励しています。
初年度は、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギー活動、リサイクル活動をテーマに募集し、3月末に選定委員会を開催して、最優秀賞、優秀賞の受賞者を決定しました。
つくば先端事業所では、積極的に太陽光発電を導入してきました。
2011年に本館屋上に、そして2018年に特別新館の屋上に太陽電池パネルを設置した後、2020年度からカーポートソーラー(写真1)として、駐車場の屋根に太陽電池を設置する計画を進め、2021年12月に一期工事が完了しました。
二期工事、商用電力系統への接続のための特高変電設備の改修が完了(2023年11月の予定)すると、発電容量は定格出力2,255kWとなり、年間約21万kWhの発電が可能、つくば先端事業所の使用電力の約2割相当を賄えます。
また、2022年12月に完成したM棟の屋根へのソーラーパネル設置工事も2023年3月に完了しました(太陽電池パネルの配置については写真2参照)。
さらに、花の形状をした米国製太陽光発電システムを2021年7月に日本で初めて導入して、敷地内に6基設置しています(写真3)。日の出から日没まで、常に太陽を向いて動くことで、固定された太陽光パネルより30~40%ほど多く発電することができます(年間発電量4,000~6,200kWh)。
なお、つくば先端事業所ではSF6ガス(温室効果はCO2の約2万倍)を使用していますが、使用したガスを回収するための設備を設置し、2023年度中に外気への排出削減を計画しています。
つくば先端事業所では燃料電池自動車、電気自動車を一部導入しています。具体的には、ご来社のお客様送迎用として、トヨタ自動車様の燃料電池自動車「MIRAI」1台を、近隣への外出用に三菱自動車様の電気自動車ミニキャブ「MiEV」2台を、構内のお客様移動用などにヤマハ発動機様のゴルフカートを導入し活用するとともに、電気自動車の充電にはフラワー型太陽光発電システムを活用しております。
また、事業所内託児所(写真4)の屋根にも太陽光電池パネル及び充電設備を設置しており、停電時には、そこで発電した電力で照明等がまかなえ、社用の燃料電池車(FCV)のバッテリーに蓄電した電力を非常用電源として活用し(写真5)、夜間の活動も可能です(災害時に防災拠点となります)。
この施設は、2017年10月竣工し、翌年から従業員用の託児所として運用をしています。今後、ここでカーボンニュートラル実現のため、クリーンエネルギーの実証試験も行う予定です。
再生可能エネルギー化と並行して、地道な省エネルギー活動を推進すべく、2022年11月に経済産業省の支援事業である「省エネお助け隊」による省エネ診断を実施してもらい、2023年1月に診断結果のフィードバックをいただきました。今後は、この診断結果を踏まえて、新たな対策に取り組む予定です。
つくば先端事業所では、絶滅危惧種であるチョウザメ(写真6)を独自の技術を用いて養殖し、稚魚を自治体や企業に提供すること等を通じて、生物多様性を守る活動をしています。
フジキンでは完全閉鎖循環ろ過システムを使ってチョウザメ養殖を行っています。排せつ物をバクテリアによって液肥成分に転換された水を利用して野菜を育てる「アクアポニックス」に取組み、飼育水の水換え頻度を大幅に減らしてチョウザメ養殖と水耕栽培を両立する実証実験をしています。
これまでの経緯
つくば万博の跡地である工業団地に進出するためのテーマとして「チョウザメの養殖」を選定し、入居を認められました。1989年、つくば先端事業所の稼働と同時に、ソ連(当時)から親魚を輸入するとともに、チョウザメ養殖施設を建設して、飼育実験を通じて、養殖技術と種苗生産に関する研究を開始。1992年、民間企業として日本で初めてチョウザメの人工ふ化に成功しました。
社内でふ化した国内生まれの成魚による抱卵を1998年に確認し、その人工ふ化に成功しました。言い換えますと、社内で採卵、ふ化、成長した魚を親魚として稚魚を生産するという「完全養殖」を実現しました。
また、チョウザメは外見的特徴で雌雄の判断がつきません。しかも、雌は卵をもつまで最短で6~7年かかり、雄も同様の年齢まで飼育するには、コスト的に好ましくありません。そのため、わが社は独自の雌雄判別技術を確立し、キャビアの元となる卵を持つ雌だけを選別育成させ、雄は早期に食肉販売することを可能にしました。
これらの取組みの結果、1994年から本格的に稚魚の大量生産を始めると同時にその稚魚販売を開始、翌年秋からはホテルや飲食店への魚肉販売も始めました。
2020年度の出荷数(もしくは出荷金額)は2010年度の約2倍となっており、39道府県のチョウザメ養殖業者に稚魚を提供するなど、種苗提供元として町おこしなど地産地消のお手伝いをしています。
フジキンは、2022年4月1日付で、新潟大学工学部と共同研究講座を設置し、大型高効率水電解装置用硫化ニッケル系電極触媒の製造技術と評価技術の確立を目指しています。
具体的には、2024年度までに30cm角の電極触媒の作製を実現するため、当該電極触媒の製造技術の確立と電極の性能確認(耐久性を含む)を実施するとともに、2025年度以降はこの電極触媒を用いた応用技術開発を行う予定です(図1)。
大型化の取組みを担う現場として、オープンイノベーションに積極的に取り組んでいる高砂熱学イノベーションセンター(写真7)の研究スペース内に、つくばR&Dセンター分室を設けて、実験拠点としています。
現在、必要な実験設備の導入を進めており、2022年12月に、ガスクロマトグラフ、赤外分光光度計、Ⅹ線回折装置(写真8)を設置しています。
(2023年4月28日現在)
東北工場では、冬に積雪が多く、太陽電池パネルの設置による発電が効果的ではないと考えられることから、東北電力様の提供する「いわて復興パワー水力プレミアム」に2022年6月から切り替えています。同年7月19日に、東北電力岩手県南営業所の田中所長様から認証書を授与されました(写真1、2)。
再生可能エネルギー化と並行して、東北工場で地道な省エネルギー活動を推進しています。そのひとつとして昇温防止のため、建物の壁に「遮熱塗装」を行うなどの対策をしています。
(2023年4月28日現在)
大阪工場 東大阪・柏原、及び大阪ハイテック研究創造開発センターでは、敷地面積の関係等で太陽電池パネルの設置が困難であることから、関西電力様の再エネECOプラン契約を結び(写真1)、2022年8月から再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力に切り替えています。
大阪工場では燃料電池自動車を1台導入しており、2022年にはフォークリフトを3台、電気式に変更しました。 翌2023年8月23日に、軽自動車1台を電気自動車に変更しました(車種は三菱自動車ミニキャブ「MiEV」)。
再生可能エネルギー化と並行して、地道な省エネルギー活動を推進しています。以下に、事例をいくつかご紹介します。
昇温防止のため、屋上に昇温防止効果のある人工芝を敷く、建物の壁に「遮熱塗装」を行うなどの対策をしています。また、新型コロナ感染対策には定期的な換気が必要ですが、省エネタイプの換気装置の導入を進めています。
関西電力様の「冬季eリスポンス特約」(経済産業省の節電促進事業に連動して、節電量に応じて電気料金を割引く制度)に対して、柏原工場4契約、東大阪工場4契約、ハイテックセンター1契約の申し込みを一括して行っています。
(2023年8月23日現在)