2025年 第22回
モノづくり部品大賞「機械・ロボット部品賞」受賞製品
第22回
モノづくり部品大賞(主催:モノづくり日本会議様/日刊工業新聞社様)において、フジキンの高スループット型プロセスガス供給バルブが機械・ロボット部品賞を受賞しました。半導体製造におけるプロセスガスを高速に充填し、成膜プロセスによる膜厚の均一も実現することで、お客様の生産性向上に貢献できる製品です。
半導体チップ製造におけるナノスケール領域における次世代微細加工技術として注目される原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)は、原子層単位での極めて高精度な膜厚制御を可能とします(図1)。 一方、ALDプロセスはパルス的なガス供給およびパージ工程を高速かつ反復的に行う必要があり、スループット確保のボトルネックとなるガス制御系の応答性向上が喫緊の課題です。
図1 ALD装置概略図
本バルブは、CVDおよびエッチング装置向けで実績を有する既存機構をベースに、ALD特有のガス切替速度要件に適合するよう流路形状と内部体積を最適化しました。結果として、従来製品比で2倍のCv値(流量係数)向上を実現しています。
加えて、フットプリント(幅・面間)を現行品と同一寸法とすることで、現行装置へのドロップイン対応を可能としました。
図2 現行品と開発品の外観比較
ユニット間の加工ばらつきによる流量差を補正するため、Cv値調整機構をバルブ構造内に内蔵。これにより、ガス供給の再現性と安定性が大幅に向上し、ALD成膜における膜厚均一性の改善を実現しています。
構成部品のモジュール化により、部品交換およびメンテナンスが短時間で完結可能。装置全体のTAT(ターンアラウンドタイム)短縮に寄与します。
総じて、本製品は高速応答・高流量・寸法互換・メンテナンス性を高次元で両立し、ALDに代表される次世代微細化プロセスにおける最適なガス供給ソリューションとして、歩留まり向上とコスト最適化の両立に貢献します。